本記事では、第三者保守へのスムーズな切り替え手順や、失敗しないための逆算スケジュール、そしてつまずきやすい落とし穴について詳しく解説します。
第三者保守への移行を検討する際、まず理解しておきたいのは「何が変わり、何が変わらないのか」という点です。
第三者保守への切り替えは、思い立ってすぐに完了するものではありません。余裕を持ったスケジュールを組むことが成功の鍵となります。
メーカー保守には明確な終わり(EOSL:End of Service Life)が存在します。この期日を過ぎると、万が一ハードウェアが故障しても、メーカーからの部品提供や技術サポートは一切受けられなくなります。保守が途切れた無防備な期間を作らないよう、事前の準備が不可欠です。
スムーズな移行のためには、現行のメーカー保守満了日から逆算して「6ヶ月前」には動き出すことをおすすめします。
| 時期 | フェーズ | やること |
|---|---|---|
| 6ヶ月前 | 現状把握 | 対象機器の棚卸し、現行の保守内容の確認 |
| 4〜3ヶ月前 | 比較検討 | 複数社への見積依頼、サービス品質や保守拠点などの比較 |
| 2〜1ヶ月前 | 社内手続き | 委託先の決定、社内稟議の承認、契約締結 |
| 満了日直前 | 運用準備 | 障害時のエスカレーションフロー構築、社内への周知 |
| 保守満了日 | 切り替え | 第三者保守での運用スタート |
実際に第三者保守へ移行するための具体的な手順を、5つのステップで解説します。
まずは保守を延長したい機器のリストアップを行います。メーカー名、機器のモデル(型番)、シリアルナンバー、設置場所、現在のEOSL期限などをエクセル等にまとめます。この一覧表が後の見積もり依頼のベースとなります。
現在、どのようなレベルで保守を受けているかを確認します。「24時間365日対応」なのか、「平日9時〜17時対応」なのか。また、エンジニアが現地に来る「オンサイト保守」か、機器を送る「センドバック保守」かといった契約条件を把握しましょう。
ここで重要なのは「すべての機器を現行通りの保守レベルで引き継ぐ必要はない」という点です。例えば、社内の検証用サーバーや冗長化されている非クリティカルなシステムであれば、24時間対応から平日日中のみの対応へダウングレードすることで、さらにコストを最適化できます。
作成した機器リストと希望する保守要件をもとに、複数の第三者保守事業者に相見積もりを依頼します。価格だけでなく、「自社の設置場所に指定時間内で駆けつけられるか(拠点網)」「必要なパーツの備蓄は十分か」「これまでの実績」などを総合的に比較検討します。
委託先が決定したら契約を締結します。メーカー保守が終了するタイミングに合わせてシームレスに切り替わるよう調整します。また、実際に障害が発生した際の連絡先やフローチャートを作成し、運用担当者が迷わないようにしておくことが大切です。
事業者にスムーズに見積もりを出してもらうために、以下の情報を事前に揃えておきましょう。
第三者保守はメリットが大きい反面、メーカー保守との違いを理解していないと思わぬトラブルにつながります。以下の4点に注意しましょう。
第三者保守が担うのは、あくまで「ハードウェアの故障に対する部品交換」です。OSやソフトウェアのバグ修正、パッチの提供などはメーカーの知的財産に関わるため、第三者保守事業者では対応できません。これらは分けて考える必要があります。
一度第三者保守に切り替えた後、何らかの理由で再びメーカー保守に戻そうとした場合、メーカーによる機器の再検査費用や復旧手数料などが発生する、あるいはそもそも再契約を断られるケースがあります。実際に、保守契約が一定期間途切れた機器の再契約時に、復旧手数料(reinstatement fee)や機器の検査とその費用を求めると明記しているメーカーもあります。基本的に「一度切り替えたらメーカー保守には戻らない」前提で計画を立てましょう。
メーカーの保守契約が切れると、最新のファームウェアへのアップデートが受けられなくなります。例えば、有効な保証またはサポート契約がなければファームウェア一式をダウンロードできないと公表しているメーカーもあります。現状のバージョンのままで安定稼働していることが、第三者保守を利用する上での前提条件となります。
「ハードウェアの故障は第三者保守へ」「ソフトウェアのトラブルは別のサポート窓口へ」といったように、問い合わせ先が分散する可能性があります。いざという時に「どこに連絡すればいいのか」と迷わないよう、事前の切り分けルールと対応マニュアルの整備が必須です。
無事に第三者保守へ切り替わった後も、安心して放置して良いわけではありません。第三者保守も永久に利用できるわけではなく、市場の中古パーツが枯渇すれば延命は難しくなります。
「とりあえず延命できたから」と安心するのではなく、「あと何年このシステムを使い、その間にクラウドへの移行や新システムへの刷新をどう進めるか」という、次の一手(ロードマップ)を先に決めておくことが重要です。
A. 基本的にはリファービッシュ品(整備済中古品)やリユース品が使用されます。リファービッシュ品は専門家による修理・整備を経て、新品とほぼ同等に機能することが確認されている製品を指します。動作テストやクリーニング等の品質検査をクリアした部品のみが使用されるため、実運用において品質上の問題が生じるケースは限定的です。
A. 多くの事業者が全国対応していますが、事業者の保守拠点(パーツセンター)の場所によって、駆けつけにかかる時間が異なります。事業者によっては「24時間365日・4時間以内の駆けつけを目標としたベストエフォート」といった形でSLAを定めており、遠方は翌営業日対応となる場合もあります。地方の拠点の場合は、自社が求めるSLA(例:4時間以内の駆けつけ)を満たせるかどうか、事前の確認が重要です。
第三者保守への切り替えは、コスト削減やシステムリプレイスの猶予期間を生み出す非常に有効な選択肢です。
「難しそう」と感じるかもしれませんが、正しい手順とスケジュールに沿って進めれば、決してハードルの高いものではありません。
まずは最初の一歩として、「自社にどんな機器があり、いつ保守が切れるのか」という機器一覧(棚卸し)をつくることから始めてみてください。現状を把握することが、最適なITコスト削減への近道となります。
全国に対応する第三者保守会社の中で、保守の種類が2種類以上あり、パーツのストックが10,000点以上の会社を選定。その中でも「障害時のスピード」「実績」「品質」というポイントで、おすすめの3社ピックアップしました。

引用元:ブレイヴコンピュータ公式HP
https://www.brave-com.jp/

引用元:データライブ公式HP
https://www.datalive.co.jp/

引用元:ネットワンネクスト公式HP
https://www.netone-next.co.jp/service/maintenance/
【選定条件】
2024年2月29日時点、Googleで「第三者保守サービス」と検索して表示された公式HPのうち、第三者保守サービスを行っている25社を調査。「全国対応」「パーツ備蓄量が10,000点以上」「保守の種別が2種類以上」の会社のうち、以下の理由から3社を選定しました。
さらに、以下の理由から3社を選定しました。
ブレイヴコンピュータ:全国の主要都市にある拠点に、顧客の専用保守パーツをストックし、最速オンサイト保守時間を実現
データライブ:第三者保守の対応実績が最も多い
ネットワンネクスト:ハイエンド機器や大型設備機器の第三者保守に加えて、再生品の販売(ECサイト)やレンタルなど網羅的にサービスを提供
※最速2時間の対象:東京23区、平日8時から20時。対象機器:富士通PRIMERGY/ETERNUS