企業のDX改革を阻害している問題の1つにレガシーシステムがあります。ここでは、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状、およびレガシーシステムの問題点とその解決方法について考えていきます。
企業が業務効率を向上させ、イノベーションを起こしていくためには、社内のDX改革は必須です。ここ数年におけるデジタル化の進展状況を確認してみましょう。
日本情報システム・ユーザー協会と野村総合研究所の2020年の調査によると、欧米企業に対する過去3年間のデジタル化の取り組み状況は「多少遅れている」と「圧倒的に遅れている」を合わせると7割以上です。ただ、最初期の調査時期から3年経過していることもあり、多少はデジタル化の進展は進んでいると確認できます。
参照元:【PDF】一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会/野村総合研究所 https://juas.or.jp/cms/media/2020/05/Digital20_ppt.pdf
日本国内ではデジタル化が少しずつ進んでいることは確かですが、レガシーシステムをいまだに使っている企業もあることも事実です。DXが進まない要因として、レガシーシステムがデジタル化やさらに使いやすいシステム導入の阻害をしているのも大きいでしょう。
経済産業省のDXレポートでは、2025年以降においてレガシーシステムの問題で最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があると指摘しています。(「2025年の崖問題」)
レガシーシステムは、技術が古いため故障時に代替ができないことやシステム設計やソースコード理解が難しいためにブラックボックス化しているのが大きな問題点です。また、製作の際に独自システムを構築してしまい、他のアプリケーションと連携できないなど不便な点も。こうしたレガシーシステムの問題点が、企業のデジタル化の進展をさまたげているのです。
レガシーシステムの問題点における根本的な要因は、企業が独自にシステムをカスタマイズし過ぎたことやベンダーに任せきりのシステム構築をしたことにあります。加えて、システム構築に関係していた技術者が定年退職や転職などでいなくなってしまい、管理やメンテナンスの技術が引き継がれていないケースも少なくありません。
企業は、こうしたレガシーシステムの問題点を把握し、その対策を実施することが求められます。
DXレポートでも、レガシーシステムが企業の競争力を削いでしまうという結果が出ています。企業はできる限り早くレガシーシステムから新しいITシステムへ移行させることが大切です。ここでは、レガシーシステムの問題を解決する方法である「マイグレーション」と「モダナイゼーション」について考えていきます。
レガシーシステムのデータを仮想化し、新しいIT環境へ移行することをマイグレーションといいます。マイグレーションはデータソースとユーザーアプリケーションを分離して行うため、移行時でも業務を継続することが可能。多様なデータソースやアプリケーションを移行させられるほか、既存システムの構造が変化しないため、データにおける構造障害は基本的に起こりません。マイグレーションの作業は開発も導入も容易で、数週間で完了することもあります。
モダナイゼーションでは、レガシーシステムを別のIT環境に移行するマイグレーションと異なり、IT資産を残しつつも最新技術を使ってシステム構造から刷新。現状の運用や使用方法に合わせて作り変えるため、システム運用で担当者が変更になった場合も作業負担が少なく済む効果が期待できます。モダナイゼーションによって、レガシーシステムの問題を引き継ぐことなく、業務プロセスを根本から改善し、新システムを再構築することが可能です。
レガシーシステムの問題は、マイグレーションやモダナイゼーションによる解決法だけでなく、クラウドの活用も重要です。
現在はサーバー保守・機器の保守においてクラウド化も進んできていますが、自社で管理するオンプレミス型のシステムがいまだに多く、システム構造がブラックボックス化しやすいのが現状です。
たとえば企業のITシステムが内部で構築するオンプレミス型のレガシーシステムでは、自社で修正や拡張ができなくなったときにシステムとして使用できなくなります。また、システムの活用も属人化してしまい、引継ぎが上手くいかないことも。このようなオンプレミス型のレガシーシステムの問題を解決するための方法にクラウドがあります。
クラウドの活用によって、ハードウェアの保守に関する作業を大幅に削減可能に。また、ノウハウの共有がしやすく外部委託して他の業務にリソースを割けるようになります。そして、生産性の高い業務に人材は集中ができるようになることで、企業の生産性向上が期待できるでしょう。
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