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システム保守におけるリプレースとは

リプレースとは

システム保守におけるリプレースは、故障や古くなったシステム・ソフトウェア・ハードウェアなどを新しいものに交換するという意味で使われる言葉です。

リプレースでは、サーバーやパーツの一部を交換することもあれば、システムをすべて新しいものに入れ替えることもあります。

システムに不具合やセキュリティ上の問題があった場合、業務の停止や会社の責任問題にまで発展しかねません。システムのトラブルから大きな問題に発展しないように、適切なリプレースを行っておくことが重要です。

リプレースの目的

リプレースを行う目的は、システムの継続と安定した運用のためです。

ハードウェアを長期間稼働していると部品の劣化は避けられず、故障率が上昇します。システムについても同様で、長期間使用してカスタマイズなどを繰り返しているシステムは内部構造が複雑化し、ブラックボックス化してしまうことが少なくありません。

たとえ不具合が表面化していなかったとしても、時間の経過によってシステム内では次のような劣化が起こっている可能性があります。

これらの劣化を放置していると、業務の非効率化や停止、情報流出、システムの停止などのトラブルにつながる可能性があります。システムを安定・安全に運用したいのであれば、明らかな不具合が発生していなかったとしても定期的なリプレースが欠かせません。

また、リプレースは安定運用のほかに、「事業の拡大・多角化を図るうえで必要なDX戦略に対応するため」といった攻めの目的で行われることもあります。

リプレースとマイグレーションの違いとは?

マイグレーション(migration)とは、ソフトウェアやシステム、データなどを新しいインフラ・プラットフォーム・OSなどに移行することを意味する言葉です。

リプレースとの主な違いは、基盤となる環境を抜本的から変えてしまうかどうか。リプレースが既存の環境のまま古くなった箇所だけを部分的に新しくするのに対し、マイグレーションは「オンプレミスからクラウドに変更する」「開発言語を別のものにする」などシステムの基盤から別のものへと移行します。

マイグレーションでは、既存の環境以上のものを求めて抜本的に刷新するという点が、リプレースとの主な違いです。

リプレースを行う4つの方法

一括移行方式

一括移行方式は、ハードウェア・ソフトウェアなどのシステム全体を一度に入れ替えるリプレース方法です。

【一括移行方式のメリット】

【一括移行方式のデメリット】

一括移行方式は一度の作業でリプレースを完了できるため、リプレースにかかる時間やコストを最小限に抑えられるのが大きなメリットです。一方で、すべてのシステムを一度に入れ替える一括移行方式はリプレースに時間がかかり、入れ替え時にシステムを全面停止しなければいけないのがデメリットになります。

そのため、24時間365日稼働しなければいけないシステムをリプレースする場合、一括移行方式は適していません。週末に稼働停止できたり移行するデータが単純かつ小さかったりする場合は、一括移行方式が有効です。

一括移行方式を検討する際は、全面停止中やエラーが発生した場合の業務をどうするか、全面停止しても影響が少ないタイミングはいつか、などを整理して行う必要があります。

段階移行方式

段階移行方式は、データをモジュールごと、サブシステムごとなどに分け、段階的に少しずつ移行するリプレース方法です。

【段階移行方式のメリット】

【段階移行方式のデメリット】

段階移行方式によるリプレースは段階的に少しずつ進めていくため、システムを全面停止せずに済むのが大きなメリットです。また、モジュール間の依存関係や新旧のシステムの相性などの問題を確認・解決しながら進めていくので、エラー発生のリスクを抑えられるメリットもあります。

ただし、段階移行方式はシステム全体で見たときのリプレースにかかる時間が長く、一括移行方式に比べて費用も高くなりやすいのが難点です。また、新しい機器と古い機器が混在することになるので、設定が難しかったりシステム同士の相性が合わなかったりする可能性があります。

並行移行方式

並行移行方式は、リプレースした新システムが正しく機能していることが確認されるまで、旧システムも同時に運用する方法です。

【並行移行方式のメリット】

【並行移行方式のデメリット】

旧システムと新システムを同時運用する並行移行方式では、完全移行する前に移行に伴う問題を処理できるため、エラーに強い安定した運用が可能です。一方で、2つのシステムを運用することになるので保守管理担当者の負担がかなり大きく、費用もかかるという欠点もあります。

パイロット方式

パイロット方式とは、社内の特定の部門で新システムへの移行を先行して実施するリプレース方法です。

【パイロット方式のメリット】

【パイロット方式のデメリット】

パイロット方式では、全体のシステムのリプレースを行う前に、移行に伴う問題点の把握やノウハウを蓄積できるメリットがあります。先行移行の結果を踏まえたうえで全体のリプレースにつなげられるため、リスクを最小限に抑えやすいのがポイントです。

ただし、パイロット方式のリプレースは、先行移行から全体の移行の完了までのリードタイムが長いというデメリットがあります。また、試験段階では問題が発生しなかったのに、全体に移行を広げたらトラブルが発生する場合もある点は注意が必要です。

リプレース前に注意すべき手順

リプレース前に注意すべき手順は以下の4点です。

それぞれの手順で注意したいポイントを見ていきましょう。

1.要件の整理

要件とは、システムに求める機能や項目などのことです。リプレース後に想定したものと違うシステムにならないようにするには、「どこをどのように変えるのか」「変わってはいけない部分はどこか」などの要件を具体的に整理し、業者に正確に伝える必要があります。

要件を整理する際は、「実際にシステムを使っている(今後使う予定のある)メンバーの意見を参考にする」「小さな要望も拾い上げる」「第三者にも正確に伝わるように具体的かつ分かりやすくまとめる」の3点を意識すると良いでしょう。

2.リプレース計画の作成

要件を整理したら、次はリプレースのスケジュール計画を作成しましょう。リプレースの計画を具体的に作成し、業者や社内で共有することで、認識のズレによるトラブルを回避できます。

リプレース計画に盛り込みたいポイントとしては、「全体スケジュール」「システムが停止する期間」「データを移行する範囲とタイミング」「事前準備やリハーサルの日程」の4つ。また、余裕のあるスケジュールにしておくと、万が一エラーやトラブルが発生した場合でも、影響を最小限に抑えながらリカバリできます。

3.移行データの準備

新システムにデータが正しく反映されなかったり破損したりしてしまった場合、業務に支障をきたしてしまいます。そのため、リプレース後にデータやファイル形式などがどうなるのかを必ず事前に確認し、データの調整や加工が必要な場合は、リプレースまでに移行できる状態に準備しておきましょう。

4.移行前にリハーサルをする

リプレースでは思いがけないエラーが発生するリスクが常にあります。そのため、必ずリハーサルを行って、データを移行しても問題ないか、想定している手順で進めてエラーが発生しなさそうか、をあらかじめ確認しておきましょう。リハーサルで問題が見つかれば解決策を準備してから本番に臨め、リスクの影響を最小限に抑えられます。

リハーサルで十分な備えをしてからリプレースを実施することが、リプレースの成功につながる重要なポイントです。

リプレース時の課題

リプレース時の課題としてまずあげられるのが、導入コストです。移行方式によって導入コストの程度は変わってくるものの、リプレースには経済的・労力的な負担がかかります。また、移行方式によってはシステムの全面停止が必要なものもあり、業務に大きな支障をきたす可能性があるのもリプレースの課題です。

そのほかにも現行システムがブラックボックス化している場合、リプレースの難易度が上がるため、スケジュールの遅れを招きかねません。リプレースのスケジュールが遅れると、リプレース完了前にメーカー保守期限がきてしまう可能性もあります。そうなると現行機器が故障しても保守対応してもらえず、業務に大きな支障をきたす可能性もあるので注意が必要です。

リプレースの課題を解決できる「第三者保守」

第三者保守なら、メーカー保守期限が切れた製品やシステムでも、保守期限切れによるリスクを心配せずに継続利用できます。リプレースまでのつなぎにしたり、保守切れの機器とそうでない機器のリプレースの時期を調整したりすることも可能。メーカーの延長保守よりも安く利用できるサービスも多く、古い機器の保守コストを削減できるメリットもあります。

また、オンプレミスからクラウドへの移行を検討している場合、第三者保守を利用してシステムの更改を戦略的にスキップすることが可能。リプレースにかかるコストやリソースを削減でき、その分を新技術に対応するための開発や人材育成に有効活用できます。

リプレースで失敗しないための注意点

リプレースで失敗しないためにまず注意したいのが、業者任せにしないことです。期待した通りの効果を得るには、必要な機能やスケジュール感を業者へ具体的に伝えることが大切なので、業者とは積極的に意思疎通を図るようにしましょう。

他システムと連携しているシステム関連のリプレースを行う場合、リプレース後もスムーズに連携できるのかの確認が必要です。業者にもどのようなシステムと連携しているのか、リプレース後にどのように連携させていくのかを必ず伝えたうえで、他システムとの連携を前提としたリプレースを検討しましょう。安易なリプレースは失敗の要因になるため、徹底した事前確認が重要です。

また、移行方法によってリスクが異なるため、それぞれのリスクをしっかりと把握したうえで検討する必要があります。特にシステムの停止を伴うものは業務にも影響が及ぶ可能性があるため、システム停止による影響範囲を正確に把握し、入念に計画を立てることが大切です。

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