業務において専門性の高い機器を導入する場合、導入段階においてメーカー側から「保守」に関する提案を受けることが一般的。導入する企業側は、その機器を「使う側」であり「作る側」でない以上、保守は必要不可欠な契約と考えるのが通常でしょう。
しかしながら、機器を導入してメーカーと保守契約を結ぶ企業の中には、そもそも「保守」というサービスの内容をよく理解していない企業も少なくありません。漠然と「必要だと思ったから契約した」ではなく、保守契約の内容をきちんと理解し、そのメリット・デメリットも踏まえた上で適切に契約を判断していきましょう。
当記事では、主にIT分野を前提とした保守契約について網羅的に解説しています。
一般的には、企業や個人が製品・サービスを購入する際、その製品・サービスが安定的に稼働するよう、監視やメンテナンス、修理などを行ってもらうための契約を保守契約と言います。
保守契約を締結していれば、万が一、その製品・サービスに突発的な不具合が生じたとしても、顧客に対する被害を最小限に抑えて状態を復旧させられる可能性が向上。安定的な業務を遂行する上で、保守契約は非常に大切な位置づけと考えられています。
保守契約の一般的な内容は、メーカーから導入した機器に対する定期的なメンテナンスや点検です。不具合が発生してから対応するのではなく、不具合が発生しないよう予防的措置を行うことが、保守のメイン業務と考えておきましょう。IT分野で言えば、例えば定期的なソフトウェアの更新、ハードウェアの交換、トラブルシューティングの対応などが、定期的な保守の中心業務となるでしょう。
また、保守契約の具体的なサービス項目とは異なるものの、保守契約を締結している企業には「優先的な対応」が提供されるという点も、保守契約に関連したサービスの一種と考えて良いかもしれません。
例えば、導入した機器に何らかの不具合が発生した際、迅速に不具合を解消して状態を復旧させなければ、自社には機会損失が膨らむ可能性があります。この際、保守契約を締結している企業と締結していない企業とを比べると、当然、締結している企業が優先対応となります。
保守契約を締結する一般的なメリットを4点ほど見てみましょう。
先にもご紹介した通り、製品やサービスに何らかの不具合が生じた際、保守契約を締結していることで優先的なサポートを受けられる点がメリットとなるでしょう。
優先的なサポートにより業務の中断を大きく抑えられるため、その分、機会損失も抑えられる形となります。
こちらも先にご紹介しましたが、製品に不具合が生じないための予防的措置として、定期的に製品のメンテナンスや点検を受けられる点がメリットです。
ソフトウェアなどが定期的に更新されることで、安定的に製品を使える状態が続きます。
定期的なメンテナンス・点検などを受ける際、または保守契約に基づく何らかの問合せをした際などに、先方の担当者から専門的な技術アドバイスを受けられることも、保守契約を結んでいる企業ならではのメリット。製品のパフォーマンスを最大限に引き出したり、製品の突発的な不具合発生を最小限に抑えたりするために、これらの専門的な技術アドバイスが役立つでしょう。
定期的なメンテナンスや点検、ソフトウェアのアップデート、修理、部品交換などにより大きな故障・破損などを回避できるため、予期せぬ莫大な修理費が掛かる可能性はほとんどなくなります。保守契約料は掛かるものの、長い目で見れば企業が導入する各種製品のライフサイクルコストの効率化につながるでしょう。
次に、保守契約を締結する一般的なデメリットを4点ほど見てみましょう。
保守契約は有料です。製品やサービスに付帯する「保証」とは異なり、保守を提供する企業に対して定期的な支払いを行うことで受けられるサービスになります。製品・サービスの導入企業にとって、定期的な負担が増えることはデメリットに他なりません。
特定の製品・サービスの保守契約を締結した場合、以後、当該製品・サービスの正常稼働に関しては、保守契約を締結した企業に高く依存することとなります。この依存度の高さゆえ、契約を解除したり他企業の製品・サービスに乗り換えたりすることが困難になれば、それは自社にとってのデメリットやリスクになる可能性があります。
一般的な傾向として、製品・サービスの契約期間は長期を前提とします。そのため、例えば5年間の保守契約を結んだ場合、その5年の間に顧客のビジネスニーズが変化したとしても、途中で保守契約を解除することができません。
保守契約を結ぶ際には必ず最低契約期間を確認し、もし自社のイメージと異なっている場合には、後述する第三者保守も選択肢に入れたほうが良いでしょう。
保守契約は、様々な業界の様々な製品・サービスが対象となります。ただし一般的には、IT業界や専門性の高い機器を導入する企業などにおいて見られることの多い契約です。以下、保守契約の対象となることの多い主な製品やサービスを見てみましょう。
保守契約の対象としてとりわけ多く見られるものが、情報技術(IT)に関連する製品・システム。コンピューターソフトウェア、サーバー、ネットワーク機器、ストレージデバイス、および各種機器を組み合わせたシステム等々、ITに関連する製品やシステムは幅広く保守契約の対象となっています。
コピー機や複合機、監視カメラなどの電子・家電製品なども、一般的に保守契約が結ばれる代表的な対象です。定期的に自社オフィスへ来訪し、複合機のチェックなどを行っている保守・点検員を目にしたことのある方も多いでしょう。
産業用ロボットや発電機、コンベアベルト、エネルギー管理システムなど、工場内にある各種産業設備も典型的な保守契約の対象です。
MRIやMRA、超音波検査装置、ヘッドサイドモニターなど、医療機関で使用される大半の機器も保守契約の対象となります。これらは人命に関わる機器でもあることから、保守契約は必須と言って良いでしょう。
保守契約を結んでいるものの、不明瞭な内容が存在するなど契約管理が不適切な場合、のちに思わぬトラブルへ発展し、余分なコストや機会損失発生につながる恐れがあります。せっかく料金を払って締結している保守契約なので、想定外のトラブルへつながらないよう以下の点に注意して契約管理を行いましょう。
保守契約を締結する際には、契約対象となる製品・サービスの範囲やサービス内容、期間、料金などについて具体的かつ明確に定義しましょう。
顧客のビジネスニーズに応じ、保守契約の内容も柔軟に見直す必要があります。契約期間が満了となったら、改めて顧客ニーズ等を精査の上、必要に応じて契約内容の見直し・更新を行いましょう。
保守契約には、大きく分けてメーカー保守契約と第三者保守契約の2種類があります。
製品やサービスを導入した際、そのメーカーと締結するのがメーカー保守契約ですが、一般的にメーカー保守契約は製品のサポート期間内のみ締結可能な契約。通常、IT機器などは5年でサポート期間が切れるため、以後は保守契約を結べません。
一方、第三者保守契約とは、メーカー以外の企業と締結する保守契約で、メーカーのサポート期間中でも期間終了後でも締結が可能。また、第三者保守契約はメーカー保守契約と料金の設定方法が異なるため、多くの場合、メーカー保守契約より料金が安くなります。
製品が稼働しているにも関わらず保守切れとなって不安を抱えている企業や、初めから保守コストを削減したいとお考えの企業は、ぜひ第三者保守サービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
当サイトでは、多くの実績を持つおすすめの第三者保守サービスをご紹介しています。関心のある方は、ぜひ以下のページをチェックしてみてください。
全国に対応する第三者保守会社の中で、保守の種類が2種類以上あり、パーツのストックが10,000点以上の会社を選定。その中でも「障害時のスピード」「実績」「品質」というポイントで、おすすめの3社ピックアップしました。

引用元:ブレイヴコンピュータ公式HP
https://www.brave-com.jp/

引用元:データライブ公式HP
https://www.datalive.co.jp/

引用元:ネットワンネクスト公式HP
https://www.netone-next.co.jp/service/maintenance/
【選定条件】
2024年2月29日時点、Googleで「第三者保守サービス」と検索して表示された公式HPのうち、第三者保守サービスを行っている25社を調査。「全国対応」「パーツ備蓄量が10,000点以上」「保守の種別が2種類以上」の会社のうち、以下の理由から3社を選定しました。
さらに、以下の理由から3社を選定しました。
ブレイヴコンピュータ:全国の主要都市にある拠点に、顧客の専用保守パーツをストックし、最速オンサイト保守時間を実現
データライブ:第三者保守の対応実績が最も多い
ネットワンネクスト:ハイエンド機器や大型設備機器の第三者保守に加えて、再生品の販売(ECサイト)やレンタルなど網羅的にサービスを提供
※最速2時間の対象:東京23区、平日8時から20時。対象機器:富士通PRIMERGY/ETERNUS